優しい食事
フードの種類と選び方
皆さんは普段どのようにペットフードを選んでいますか?
フードは犬や猫が健康に過ごすために必要な栄養源です。
毎日口にするものだからできるたけ品質の良いものを食べさせてあげたいですよね?
人間と同じように犬や猫も栄養が偏ると肥満になったり免疫力が下がったり、病気になりやすくなったりします。
体が小さい分、少しの量でも栄養が偏ってしまうので、その子に合ったきちんと栄養バランスのとれたフードを与える必要があります。
フードには与える目的によって様々な種類があります。
フードのパッケージにも記載されているのでよく見て選びましょう。
総合栄養食
犬や猫が必要としている栄養素をすべて含んだフードで、新鮮な水と一緒に与えるだけで健康を維持することができるように、栄養バランスが調整されています。
間食(おやつ、スナック)
ペットとのコミュニケーションをとるための手段やご褒美として、限られた量を与えることを目的としたもので、ジャーキーやクッキー、歯みがきガムなど様々なものがあります。
ペットが欲しがるままに与えていると、栄養が偏ったり、カロリーが過多になって肥満にもつながりますので注意が必要です。一日あたりに必要なカロリーの20%以内に抑えることが大切です。
一般食
嗜好性を上げることを目的として与えるもので、栄養バランスが完全ではないので、それだけを食べていては栄養が偏ってしまいます。
人間の食事でいえば「おかず」のようなものなので、主食(総合栄養食)などと組み合わせて与えましょう。
栄養補完食
特定の栄養を調整したり、カロリーを補給することを目的として与えるサプリメントのようなものです。
特別療法食(処方食)
特定の疾患などに栄養的に対処するために栄養成分の量や比率が調整された、いわゆる『食事療法』として与えることを目的としています。
病気の管理をするための特殊な組成を持つフードなので獣医師の指導のもとで与える必要があります。
ライフステージに合わせたフード
人間と同じようにペットも年齢や体質、環境、運動量などによって必要な栄養バランスが違います。例えば成長期は体を作るための栄養素が必要ですが、高齢期には病気などに配慮した食事が大切です。同じ年齢でも、太りやすい犬や猫にはカロリーを抑えたものを与えないと肥満になってしまいます。また、運動量の多い犬には、栄養を強化したものでカロリーを補うなどの配慮が必要です。犬や猫のそれぞれの状態に合った食事を与える必要があります。
哺乳期 ※
この時期は母乳で成長します。市販のミルクを利用する場合には、犬には犬用、猫には猫用のミルクを与えましょう。生後1週齢までは1日に8~12回、2週目以降は1日に4回以上哺乳します。
※生まれてから30日程度までの期間
離乳期 ※
犬や猫の離乳期用のフード、もしくは子犬用(成長期犬用)や子猫用(成長期猫用)のフードをお湯やミルクでふやかして与えます。1ヶ月くらいかけて離乳食の水分を徐々に減らしていきます。
※生後約20日から60日くらいまでの期間
成長期 ※
この時期は成犬・成猫に比べてより多くのエネルギーを必要とします。カロリーが高く消化の良い成長期用(子犬用・子猫用)フードを1日に3~4回に分けて少量ずつ与えて下さい。
※生後約50日から、小型犬では10か月程度、中型犬では1年程度、大型犬では1年半程度、超大型犬では2年程度、猫では1年程度の期間
成犬・成猫期 ※
犬は成長期に作った強い骨格と歯を維持するために、栄養のバランスのとれた成犬用フードを与えましょう。また、皮膚・被毛の健康を保つために、必須脂肪酸の配合も必要です。1日分を2~3回に分けて、きちんと給与量を量って与えましょう。
猫は生理的に必要なタウリンやビタミンAなどを体内で作ることができないためこれらを補う成猫用フードを与えましょう。また、下部尿路疾患に配慮してミネラルバランスが調整されたフードを選ぶと良いでしょう。1日2~3回に分けて与えるか、置き餌にする場合は、猫缶などのウエットフードは放置しておくと腐りやすいため、ドライフードを置き、衛生的に管理しましょう。
肥満傾向の犬猫は体重管理とフードの給餌量に注意しましょう。特に去勢・避妊手術後
はホルモンの影響や代謝が低下するため太りやすくなります。
肥満は多くの病気のリスクを高めます。体重が増え過ぎる前に早めに減量フードに切り替え、
目標体重の給餌量を目安に与えましょう。
※成長期以降の7年程度の時期
中高齢期 ※
高齢になってくると、体温調節機能が衰えて暑さや寒さに耐えづらくなる、被毛が灰色化する、皮膚の弾力性が低下する、関節疾患、視覚・嗅覚の低下がみられるなどの徴候が現れてきます。
また人間同様に生活習慣病や慢性疾患が増加しています。
体の変化に合わせて食事もシニア用の心臓や腎臓などに配慮されたフードに切り替えていきましょう。
高齢の犬猫では胃腸の負担を低減するため、3回以上の給与回数が望ましいです。
また、水分を自力であまりとらない場合は缶詰などウエットフードを与えるのも良いでしょう。
※約7~8歳以降の期間
療法食ってどんなもの?
人間は病気にかかった時、医師や栄養士により食事の指導を受け、特別な食事によって治療をサポートすることが行われています。同じように犬や猫でも、獣医師の指導のもと病気の改善に効果のある栄養素を増やしたり、症状を悪化させる栄養素を減らしたりして健康管理のために食事の内容を考える必要があります。
療法食とは、特定の症状や病気に対して栄養バランスや原料を調整することで、病気の進行を抑え、症状を軽減させたり、体質改善のために配慮してつくられた食事の事です。
療法食はたくさんのメーカーから販売されており、それぞれ嗜好性や粒の大きさ、ドライフードやパウチ、ウェットフードなど様々な種類があるため、犬や猫が美味しく食事療法が続けられるよう獣医師と相談しながら選びましょう。
また、療法食は病気を管理するための特殊な組成をもつフードなので、間違った療法食を与えてしまうと、逆に体調を悪くしてしまうこともあります。 専門的なアドバイスや指示が必要な食事のため、必ず獣医師に処方してもらいましょう。
ダイエット
愛犬、愛猫の体重を知っていますか?
また、適正体重はどのくらいなのでしょう?
人は身長と体重から、体格を相対評価した肥満の国際基準であるBMIを知ることができます。しかし、犬猫は品種や骨格によって適正体重が大きく異なり、体型を知る目安としてBCS(ボディコンディションスコア)が用いられます。BCSとは首や肋骨、腰周りなどの脂肪の厚みによって体型をスコア化したもので、図のように5段階で評価されます。
犬のボディコンディションコア(BCS)と体型
BCS1
痩せ
肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪が分からない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。
BCS2
やや痩せ
肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。
BCS3
理想的
過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。
横から見て腹部の吊り上がりが見られる。
BCS4
やや肥満
脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。
BCS5
肥満
厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。
猫のボディコンディションコア(BCS)と体型
BCS1
痩せ
肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。
首が細く、上から見て腰が深くくびれている。横から見て腹部の吊り上がりが顕著。脇腹のひだには脂肪がないか、ひだ自体がない。
BCS2
やや痩せ
背骨と肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは最小。横から見て腹部の吊り上がりはわずか。
BCS3
理想的
肋骨は触れるが、見ることはできない。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる。横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある。
BCS4
やや肥満
肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる。横から見て腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹は窪んでいる。脇腹のひだは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるのに気づく。
BCS5
肥満
肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない。横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。
脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる。
環境省 「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」より
肥満は生活習慣病のひとつです
肥満の原因は? 食べ過ぎ、運動不足、避妊去勢、加齢、内分泌やホルモンの病気など
肥満になると? 心臓病、糖尿病、肝臓病、関節疾患などを引き起こす
人よりも基礎代謝の高い犬猫にとって散歩程度の運動で消費するカロリーはそれほど多くありません。そのため減量には食事療法が最も重要です!!
ダイエットのはじめかた
体重を知る ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 体重や体格からBCSの評価を行います。
目標体重の設定 ・・・・・・・・・・・・・ 目標はこまめに設定し目標体重の達成までサポートします。
給餌量の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・ 食餌量や給餌方法についてお伝えします。
必要に応じてダイエット療法食の提案も行います。
定期的な体重測定 ・・・・・・・・・・ 進み具合や急な体重増減はないかなど、ダイエット方法の評価を行います。お困りの事があればなんでもご相談ください。
ダイエットの相談は動物病院へ
肥満は様々な病気の引き金になってしまいます。自分自身で食事の内容や量を選ぶことのできないペットにとって体重管理を行うことは飼主さんの責任です。
愛犬、愛猫の健康のために、正しいダイエットを一緒にはじめませんか?当院ではライフスタイルなどに応じたダイエットプログラムを提案していきます。お気軽にご相談ください。